乳児湿疹・あせも・おむつかぶれ

乳児湿疹・あせも・おむつかぶれとは

乳児湿疹（Infantile Eczema）

乳児期（生後2～3ヶ月〜2歳頃）にみられる皮膚炎で、アトピー性皮膚炎や脂漏性湿疹などを含みます。赤みやかゆみ、小さなブツブツや皮膚の乾燥が特徴です。

原因

脂漏性湿疹は皮脂の過剰分泌や雑菌の関与によって起こり、生後数週間から数ヶ月の間に発症し、乾燥や汗、唾液、洗剤などの刺激物、ストレスも悪化因子となります。

症状

脂漏性湿疹は頭皮・顔（額、頬）、耳周りに黄色いかさぶたや脂っぽい赤みが見られ、かゆみは少ないですが、夜間のかゆみで睡眠障害を起こすこともあります。

治療

主にスキンケアと薬物療法で治療を行います。
脂漏性湿疹は自然に軽快することもありますが、近年はアトピー性皮膚炎の発症予防のため積極的な治療が勧められています。

スキンケア

保湿は低刺激の保湿剤を1日に数回塗り、皮膚バリアを強化する基本かつ重要な治療法です。
低刺激の石鹸を使用し短時間のぬるま湯での沐浴を推奨します。爪を切って掻きむしりを防止しましょう。

薬物療法

炎症が強い場合は医師の指示で弱いステロイド外用薬を短期間使用することがあります。
かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の経口処方もあります。

予防

毎日の保湿や、刺激の少ない綿100％の衣類の着用、低刺激の洗剤の使用が推奨されます。
過度な入浴や強い擦り洗いは避けましょう。

注意点
かゆみで掻き壊しがひどい場合や発熱、膿や強い赤みがみられたら病院を受診してください。
乳児期の皮膚トラブルはアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、喘息の発症と関連することがあるため、積極的介入が重要です。

あせも（汗疹、Miliaria）

汗が皮膚内で詰まり炎症を起こす状態で、乳幼児は汗腺が未熟で肌も弱いため発症しやすく、夏や高温多湿の環境で多く見られます。

原因

汗自体の成分が原因で、汗腺の詰まりによる排泄障害が主な要因です。過度な衣服や暑い環境、汗をかいたままの放置などにより、数時間の昼寝でも発症することがあります。
乳幼児は体温調節機能が未熟で発症リスクが高いです。

症状

浅在性あせも（水晶様汗疹）は小さな透明な水疱で、かゆみや痛みはほとんどありません。紅色汗疹は赤いブツブツを伴い、かゆみやチクチク感があり、首・脇・胸・背中などに多発します。
重症化すると細菌感染による化膿や、伝染性膿痂疹（とびひ）に進行することがあります。

治療

通気性の良い衣服の着用や涼しい環境作り、エアコンの活用が重要です。汗はこまめに拭き取り、ぬるま湯や低刺激石鹸で洗い流してから保湿しましょう。

かゆみや炎症が強い場合は、医師の指示で弱いステロイド外用薬を短期間使うことがあります。
感染が疑われる場合は抗菌薬を使用します。

予防

薄着で通気性の良い綿素材などの衣類を着用し、高温多湿の環境を避けましょう。
汗が溜まる部分はこまめに洗い流すことが重要で、タオルで水分を拭くのも効果的です。

注意点
かゆみで掻き壊すと感染リスクが高まるため、強いかゆみや発熱、膿みがある場合は早めに小児科を受診してください。

おむつかぶれ（Diaper Dermatitis）

おむつがあたるお尻や太ももの付け根、性器周辺の皮膚に生じる炎症で、尿や便の刺激、摩擦や湿気が原因です。

原因

主な原因は尿や便の長時間の接触による皮膚刺激と湿気によるバリア機能低下です。
きついおむつの摩擦やカンジダ感染、排泄物による刺激のほか、接触アレルギーや食物・薬剤による下痢も原因に含まれます。

症状

赤みや発疹、軽い腫れが見られ、かゆみや痛みで子どもが泣いたりぐずったりします。
カンジダ感染では鮮やかな赤い発疹に周囲に小さなブツブツ（衛星状疹）がみられ、重症化するとただれや潰瘍に進むことがあります。

治療

おむつ交換時にぬるま湯や低刺激石鹸で皮膚を優しく洗浄し、保湿やバリア機能強化のため亜鉛華軟膏やワセリンを塗ります。
炎症が強い場合は医師の指示で弱いステロイド外用薬を使用することがあります。カンジダ感染が疑われる場合は抗真菌薬が処方されます。

予防

おむつは頻繁に交換し、尿や便による刺激をできるだけ避けます。通気性がよく適切なサイズのおむつを選び、低刺激のスキンケア製品を使うことも効果的です。
ただし、布おむつは紙おむつよりもおむつかぶれのリスクが高いため、対策上は推奨されません。

注意点
2～3日で改善しない場合や、発熱や強い痛みがある場合は小児科を受診してください。
カンジダや細菌感染の合併を疑う場合も早めの受診が重要です。